かつてTHE IDOLM@STERというゲームがあった

オタクが融解した、「げんしけん」二代目が、つらい – たまごまごごはん

読みました。
私は今の二代目の方も、いや、初代よりも二代目の方が好きなんですよ。だいたい原口のせいなんですけど。
「げんしけん二代目」や映画の「たまこラブストーリー」、一連の「僕は友達が少ない」関連の展開を気に入っているあたり、どうやら私はラブコメとか恋話の類がかなり嫌いではないようでして。意外なことに。いやー、気づかなかった。
もっとも、初代も二代目もアニメやマンガの元ネタ遊び部分がほぼ分からない私は、そもそもオタクではないんじゃないか、という気もします。スーのあ〜るネタは好きだけど。

では、私にとって、たまごまごさんの「げんしけん」のような作品が何かあっただろうか?としばらく考え、ふっと思いついたところからこの記事のタイトルにつながります。

「かつてTHE IDOLM@STERというゲームがあった」
何言ってんだ今もあるだろう起きろと言われそうなタイトルです。

アーケード版のアイマスにドハマりしてたのは、ありゃもう7,8年前のことになりますか。
とにかく、初プレイをするのに勇気が必要なゲームでした。3Dで女の子がグリグリ動いている画面をタッチするという直感的この上ないインターフェイス、その女の子(たち)はシーンによってはしゃべり、歌い、踊る、というのをゲーセンという衆人環視の環境でプレイするわけですから。
今でこそ「牌は逃さないッ メンタンピン・ドラドララッ!」とか平気でプレイできるようになりました。これは成長なのか退化なのか。
初プレイするまでの抵抗は大きかったものの、のめり込むのにそう時間はかかりませんでした。というか、即落ちでした。
カード発行手数料や、1プレイ200円というの高めの料金も音ゲーで慣れてたし。(確か、初期のDDRでのダブルプレイは400円必要だったし、出始めのbeatmaniaIIDXは1プレイ300円だった)
500円投入で3プレイ(3週分)というのが自分には程よい単位だったので、1回ゲーセンに行くと3プレイを1~2回、というのが習慣になっていました。

ゲーム中のほとんどの時間を占めるレッスン・コミュニケーション部分はざっくり言って、さほど面白いものではなかったと思います。
表現力レッスン・歌詞レッスンはタッチパネルで操作する面白さを味わえるものの、ボイスレッスン・ダンスレッスンは操作しづらい音ゲーですし、ポーズレッスンはサイモンゲームそのものです。
(ハードウェア操作と、タッチパネル操作のインターフェイスの違いについてはいずれ別で書きます)
コミュニケーションは、完全に答えが固定or完全に運任せ(朝の挨拶とか)のものがほとんどです。(歯の青のりを取る、とかはバカでおもしろかったけど)

それでもあのゲームにハマっていたのは、個性豊かなキャラクターとの会話自体が楽しいこと。
キャラクターたちのユニットに名前をつけ、育っていく過程を一番近くで見られること。
それから、

  1. それまでほぼ存在しなかった、タッチパネルで画面をさわる(パイタッチ含む)という操作の自由さ
  2. ゲームのキャラクターから携帯電話にメールが届くという、ある種、次元の壁を超えたシステム
  3. キャプチャしたダンスシーンが物理的にカードに描かれる(プロデュース終了後も残る)という、プリクラに似た楽しさ

3はX-DAY、ギノウタイ、テクノドライブといったプリンタ搭載型のナムコのゲームに共通してますね。
これらの組み合わせがアイマスの強みであったし、何よりも楽しい部分だったと思います。
さらに、「人気がなければ最悪10週で打ち切り」というシビアなゲームバランス。これがゲーム全体を引き締めていました。
今でもゲーセンでアイマスをプレイしているガチ勢をたまに見かけます。これらの家庭用にはない要素を楽しんでいるのでしょう。

さて、そのアイマスが家庭用に移植されます。ハードはXBOX360です。
発売からだいぶ遅れましたが、XBOX360コアシステムとHDD、アイマスのソフトを一気に大購入。
購入はしたんです。
画面は確かに綺麗になった。ミキという魅力的なキャラも増えた。会話量も多分膨大に増えているんだと思う。
しかしながら、先ほど書いた4つの要素はすべてなくなっています。
家庭用ゲーム機だから、タッチパネルではなくコントローラでの操作。
家庭用ゲーム機だから、「ゲーセンに来なさい」というメールは届かない。
家庭用ゲーム機だから、カードは発行されない。
すべて理解できる話です。理解はできますが納得はできませんし、面白くはありません。

そして、何よりもゲームとしての楽しさを削っていたのは、「人気がなければ最悪10週で打ち切り」制度がなくなったことでしょう。
それはもう私の好きな「ゲーム」ではないんです。
例えば、魔界村やロックマンで「穴落ちて死ぬ人多いみたいなんで、全部塞いどきました」とか、グラディウスやダライアスで「敵の弾が多くて難しすぎるようなので、バリア無限です」とか、あり得ないでしょう。
(ファミコンのゼビウスやスターフォースは裏技で無敵になれるし、アーケードの斑鳩には1面のみ自機が無限になるモードがあったし、ダライアスバーストACは400円入れると残機無限モードになる、という例外はありますが)
少なくとも、アーケード版のアイマスが好きだった私にとっては、人気が出なくても延々と52週続けなければならないのがデフォルトであるXBOX360版アイマスはもはや「ゲーム」と呼べるものではありませんでした。

リアルの携帯電話にメールを送るのは無理とはいえ、何もキャラクターごとのメールアカウントを有料にすることはないだろう。
アーケード同様に強制打ち切りをデフォルトにして、難易度設定で打ち切りなしモードを選べるようにしたり、あるいはそれこそDLCで購入できるようにすればいいじゃないか。
私が動画編集に目覚めていれば、ニコニコ動画にPとして動画投稿して盛り上がれたんじゃないか。
……どれも「もし○○だったら」という例えばの話。もしそうなっていたとしても、私の中でのアイマスはとっくに賞味期限切れだったかもしれません。

かくして我が家のXBOX360はゾンビの殺戮、石のような物体との死闘、車盗んでギャングスターにのし上がる、といった私の求める「ゲームらしいゲーム」専用機となります。

アイマス2の発表で色々揉めていた事にもまるで興味はありませんでした。
DS版には多少興味が出たものの、結局購入には至っていません。
PSPやPS3での続編?モバイル?ああ、そういうのもあるんですね。その程度です。
一度冷め切った心はなかなか元には戻るものではありません。

アニメ版は再放送時に見ました。彼女たちがあの声で、あの姿で、あの事務所で動いている。生きている。
劇場版の評判も良いようなので、アーケード版の時にハマっていた友人と見に行きました。
オープニングで楽曲「THE IDOLM@STER」が流れた時、危うく泣きかけました。最高のオープニングだ。
……結局、映画が終わり劇場が明るくなっても、オープニング以上に私の心を動かすシーンはひとつもありませんでした。

Devoの言葉を借りれば「It’s a Beautiful World, For you」「It’s Not For me」。
私以外の誰かにとっては最高の映画、最高のゲームなのでしょう。
私にとってそうじゃないってだけ。
XBOX360版が出た時点でとっくに私の考える「ゲーム」とは違うものになっていたし、私の好きだった「アイマス」とも別のものになっていたんです。それだけのこと。
私は私の好きなゲームをやればいい。
ゲーセンでダライアスバーストACをプレイし、PCでバットマン・アーカムシティ、3DSでガールズモードや真・女神転生IVにアホみたいにハマる。それでいいじゃないか。

友人の車にはiPodが載っていて、色んな曲がシャッフルされる中、三浦あずさの「隣に…」が流れました。
歌詞の「あなた」や「あの人」が、失われてしまった旧アイマスに思えてならないのです。生まれ変わったアイマスを好きになることは、私にはどうしてもできませんでしたが。

……それでも、携帯電話に残ったアーケード時代のメールアドレスは消さないんだろうなあ。

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