ネタバレ放題です。
さて、ストーリーの半分くらい(主に前作KOMからの伏線)を食っているヤツですが、いくらなんでも活躍しなさすぎではなかろうかと思うのです。
ヤツ…一応、予告編とかには出てこないのであんまりおおっぴらに言うのもアレですし、ここでは「MGさん」と呼ぶことにします。まあ、映画館のグッズ販売コーナーにはゴジラ・コング・MGと普通に並んでたので、私は映画見る前にグッズバレを喰らってしまったのですが。
さておき。
ここ20年ちょっとくらいの間で、エヴァ、ゴジラ×メカゴジラ、パシリム、パシリム・アップライジングと数々のメカ怪獣が登場しては事あるごとに暴走してきたわけですが、今回のMGさんの暴走っぷりはかなり酷い部類に入ります。
めちゃめちゃ強いですよという感じで登場したにも関わらず、なんか暴走してつけいる隙を与えてしまい、さらにコンソールパネルにダイレクトアタック(酒)を食らってプスプスしているところをゴジラソードでスパスパ斬られて完という。
先ほど羅列した諸作品のメカ怪獣(エヴァがメカ怪獣かどうかはともかく)たちは、割と暴走してもその後ちゃんと動作するようになってある程度活躍するんですが、今回のMGさんは「運用でカバー」に失敗してそのまま再起不能という、ロボ怪獣の悪いとこ取りをしたとしか思えない体たらくです。暴走して初っ端にボス殺しちゃってるからどうしようもないというのはあるにしても、もうちょっとさあ…
(あの「ボス!後ろ後ろー!」なやられ方も、ドリフのコントじゃないんだからもうちょっと捻ろうよ)
ぶっちゃけ、こういう「対決もの映画」(ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバンとか)にありがちな、「主人公たちを共闘させるための敵」として都合よく登場しただけなんじゃないのかって思いません?
「ONE WILL FALL…」とか意味深に予告編で強調していたというのに、倒れる役の人を後付けで用意されましても。
暴走のくだり以外でも、そもそもの出自(ギドラの首)からのメカ化というのは『ゴジラvsキングギドラ』(1991)のメカギドラや、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)のゴジラの骨のエピソードをあまりにも捻りなくそのまんまお出しされている。
オマージュは素材の良さが大事、それは理解できる。でもそのまんま過ぎるともはや味がしないんですよ。
すげえ無骨というか、無理やり重機から改装に改装を重ねて組み上げた感のあるデザインは割と好きです。
これも『パシフィック・リム』(2013)のイェーガーだとか、『ターミネーター』(1984)のエンドスケルトンっぽさが気になるところではあります。
パシリムから色々頂戴し過ぎじゃねえのかというのは、この映画のそこかしこに見えてしまいます。
(パシリム自体がアニメ・特撮ジャンルの引用が多いというのはもちろんあるんですが)
ストーリーは前作KOMのリアリティラインを一段と下げ、陰謀論とオカルトがお話の両輪となります。ダメじゃねえか。
・コング:地球の空洞が故郷っぽいし、なんかすごい資源あるみたいだからこいつ操って探させようよ(オカルト)
・MGさん:暗黒メガコーポは環境によくないことばっかしてるし、なぞの地下通路経由でスゴい兵器を海外に輸送しているんだ!俺は詳しいんだ!(陰謀論)
KOMの時はそれほど気にしていなかった私でも、今回のストーリーはさすがに頭が痛くなりました。まあ、怪獣映画のストーリーでオカルトに関わらないというのは難しいのでしょうが、ここまで電波度が高いとちょっとどうしようもないです。
それ以外でも、前作・前々作に続いて「ゴジラ悪いやつ!倒さなきゃ!」→「ごめんやっぱいいやつだったわ…」も三回目ともなると、もうその話いいからってなります。
こう、毎回毎回廃校の危機を乗り越える大洗女子みたいな話ですよ。ガルパンだって三回目には廃校の危機から留年の危機に話が変わっているというのに。
怪獣映画なんて、怪獣が戦ってるシーンがカッコ良きゃそれでいいし、実際この映画の戦闘シーンもカッコいいんですが、何しろこの映画を見に来る人の大半はゴジラKOMを経験しているわけで、『vsコング』がKOMを超える興奮を与えてくれるかって聞かれたら、そこまでではないんですよ。
もちろん戦闘シーンだけ映画館でもう一回見たいかっつったら見たいんですが、「この2怪獣の決着がとくに付くわけではない」とか「ストーリーが電波まみれ」とかそういったマイナス要素があることを分かった上で見に行きたいかと言われれば、そこまで良くはない。そこが困る。
『パシフィック・リム:アップライジング』観た時に、「『パシフィック・リム』ってすげえ良くできてたんだな…」って寂しさを感じてしまったんですが、今回もそれに近いものがあります。残念です。
まとまりないですが、とりあえずここまで。
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