「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」説得力を持って描かれる善玉ゴジラ

まず、今回の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(以下「KOM」で)は映画館で見るのにふさわしい、素晴らしい怪獣映画なので、この文章を読む前に映画館に行って、見ましょう。できればIMAXなどの映像がデカくて音響が良い映画感で。
私はふつうの(IMAXじゃない)映画館で見て、ちょっと後悔しました。次はIMAXで見てやる。2回くらいは見てやる。

以下、ネタバレ放題なので、映画を見てからどうぞ。

今なら国内もハリウッドもゴジラシリーズが全部Amazon Primeで見れます

何をさておいても怪獣映画の華といえばバトルシーンな訳です。これがもう、見ていて脳汁がドバドバ出ているのが分かる素晴らしさ。光線技合戦だけではなく直接のぶつかり合いも多く、そうだよ!こういうのが見たかったんだよ!なシーンが連発されるという至福の時です。こればっかりは見てもらわない事にもどうしようもないので、見ましょう。
それじゃ人間側の話が弱いのかというと、そういう訳でもなく。映画中盤くらいの「ゴジラとは、怪獣とはどんな存在か?」と議論をするシーンはそのまま「ゴジラ論」「怪獣映画論」の教材になりそうな程の濃い会話。
後述しますが、怪獣映画への愛とリスペクト溢れる引用シーンも多く、過去の怪獣映画(特にゴジラシリーズ)を見まくっていた人ほど楽しめる話になっています。

過去作で不十分に見えたストーリーも掘り下げられています。
例えば、リアリティを保ったままゴジラを善玉(人間の味方)として描くこと。
怪獣大戦争」(1965)でモスラに(文字通りの意味で)「説得」されてキングギドラから地球を守るゴジラとラドンや、平成VSシリーズ(特に「ゴジラvsスペースゴジラ」(1994))でゴジラ寄りの考えを持つ三枝未希などは、どうしても違和感があったり、唐突感が否めなかったりしたんですが、今作はそこに成功しているように思えます(「ゴジラは人間の味方だ」「今のところは」のあたりとか、若干、平成ガメラとかぶる感じはありますが)。

前作「GODZILLA」(2014)ではかなり弱かった「人間と怪獣との関わり」が今作では大幅強化。……とは言え超兵器の類が登場するでもないリアリティ重視の映画らしく、人間の兵器はほぼ通用せず、間接的に影響を与える程度にとどまります。(まあ、例外はありますが……)
従来の怪獣映画でも怪獣が人間と目を合わせて直に反応する、というようなシーンはそれほど多くないはずなんですが、今作では「サンダ対ガイラ」(1966)を思わせるほど人間にバリバリ反応します。産まれたてのモスラ(幼虫)に糸を吐かれて壁にべしゃっと貼りつくとか。あれだけでかいサイズでこの精密射撃、スパイダーマンじゃないんだから。
パンフレットの表紙にも描かれているオスプレイもバンバン落とされます。挙げ句パラシュートで脱出しようとしてパクっと食われるとか。映画の登場人物視点としては嫌すぎる……

また、バトルシーン以外での怪獣の美しさも特筆すべき点です。
ハリケーンの中から現れて稲光をバックにしたキングギドラのシルエット、成虫モスラの鮮やかさ、風と炎をまとって登場するラドン、ラストらへんの赤いゴジラの無敵感などなど。
恐ろしさと美しさで、「人間が敵うわけねえな……」という説得力に溢れています。怪獣が出てくるどのシーン切り取ったって名場面になる気がする。

それから、一回見ただけではとても把握しきれないほどのオマージュ溢れるシーン。
「シン・ゴジラ」の時もやりましたが、とりあえず気づいたところを以下羅列します。時系列はバラバラです。

別エントリにしました
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の気づいたところ追記用

また、スタッフロールの最後で坂野義光(「ゴジラ対ヘドラ」(1971)監督、「GODZILLA」(2014)エグゼクティブ・プロデューサー)と、中島春雄(初代「ゴジラの中の人」、ゴメス、ジラース、ガイラなど着ぐるみ俳優の出演多数)、2017年に亡くなったお二人にこの映画が捧げられています。スクリーンで中島春雄氏の姿が見られるとは……!

あと、ゴジラとは直接関係ないけど、吹替版スタッフ用にロールが用意されているのは、翻訳というどうしても地味になってしまう位置の方への敬意が現れていて良いことだと思う(曲はあまり合っているとは思えなかったけど……)。


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