【ゆゆゆ関連 20】勇者御記を読む

今回は、今のところ最新号である電撃G’s magazine2016年8月号までの、12回分の勇者御記を深読みしてみようかなと。
当然「乃木若葉」「鷲尾須美」「結城友奈」のネタバレ成分多めになると思いますのでご注意を。

「乃木若葉は勇者である」の上巻は第10話までと、書き下ろし番外編の「白鳥歌野は勇者である」が収録されています。

白鳥さん、意外とフランク……というか、ルー大柴とかときメモ1の片桐さんを髣髴とさせるしゃべり方ですね。こういうキャラだったとは。

1話「芽出」より

友奈の前向きな姿はこの世界では得難いものだ。
○○○は不安定な面が見えるが……。

2018年8月 乃木若葉 記

ゆゆゆ最終話の立ちくらみなどから、友奈の「肉体面」「体調面」ではないか、という推測があったが、これから先も完全に隠ぺいされている「郡千景」だろう。

「芽出」は「めだし」と読み、見た目どおりの意味。この物語の始まりにふさわしいサブタイトル。
「芽出たい」という表記の場合は読み方が変わり「めで」となる。深読みして、めで→メーデー→人類の救難信号と捉えられないだろうか。強引すぎ?

2話「花蕾」より

たった○人しかいない学校も、
(略)
こんな状況じゃ○○○のことが心配だ。
彼女は四国の勇者の中で多分一番もろい。

2018年9月 土井球子 記

人数まで削除対象になっていることから、誰か一人が離脱、造反、あるいは落命することが示唆される。
人名は「伊予島」あるいは「あんず」と考えるのが自然だが、伊予島杏は他の御記では削除対象になってはいない。
後述するが、この後の御記からも「郡千景」は完全にいなかった事にされている。
千景が何かをやらかすかはまだ分からないが、大社が隠すほどの行動に出るのは確実だろう。

サブタイトル「花蕾(からい)」は文字通り、花と蕾。花と散った諏訪地方と、これから勇者としての初陣を迎える四国の対比か。
(ちなみに「花蕾野菜」「花蕾類」とした場合はブロッコリーやカリフラワーなど、花部分・蕾部分を食すものを指すらしい)

話は逸れるが、諏訪大社上社と諏訪湖のちょうど間くらいに高島城という城がある。
高島と高嶋で字は違うのだが、これは偶然の一致なのかどうか。

3話「開花」より

特別に強い敵と戦うための『切り札』。
でも、それは○○○○○○○○○を
○○○○○○○○○のです。

2018年9月 伊予島杏 記

検閲部分の文字数が多く、解読は難しいが、

  • 『切り札』に何かしらのデメリットが存在すること
  • 伊予島杏が検閲対象ではないこと

が確認できる。
伏せられているのは、杏が「大社に説明されたまま」を書いていて、後年になってそれが嘘とは言わないまでも、デメリットを隠していた事がバレたからか。

サブタイトル「開花(かいか)」はそのまま、勇者として戦うことが出来た5人、『切り札』を使った友奈、ひとまずはまとまった6人(ひなたを含む)を意味するのだろう。
……「咲く」と「散る」がワンセットである「ゆゆゆ」を見ていると、まったく安心できない

4話「陰葉」より

私としては、力が強化されるのも欲しいかな、
「○○○○」いつか試してみたいと思います。

2018年10月 高嶋友奈 記

精霊の名前が入ると思われる。……牛鬼友奈?

また、4話本文では郡千景が「七人御先」を使用している。文字数は合うが、力が強化される切り札では無さそうだ。
(『切り札(精霊)』についてはまた別エントリで書こうと思う)

「陰葉(いんよう)」は、光が多く当たらない場所の葉のことで、薄く、軽く、サイズが大きい(光が当たる部分を少しでも多くする)という特徴がある。らしい。対義語は陽葉。
 →引き続き葉っぱの話「陽葉と陰葉」 – さくらがわーるどからこんにちは
4話ではもちろん千景を陰葉に例えているのだろう。乃木「若葉」や、上里「ひなた」との対比も考えられる。

5話「双葉」より

なんで奴らに○○○が通じないんだ?
シルエットは○○っぽかったのに。

2018年11月 土井球子 記

数少ないギャグ系御記。うどん作戦は実話だったのか……
御記後半にも伏字はあるが、同様に「うどん」「人間」だろう。

「双葉(ふたば)」というサブタイトルは球子と杏を指している、と同時に、この回襲来するバーテックスが後のジェミニ・バーテックス(双子座)である、というダブルミーニングだろう。

6話「禍根」より

ただ今後、
特定の○が○○される可能性が出てきたとのこと。
ただただ、悲しいです。

2019年1月 伊予島杏 記

『特定の「人」が「検閲」』
あるいは
『特定の「本」が「検閲」』
と思われる。のだが、その一行上の文章で「本」は消されていないので、「文」や「語」かもしれない。
「人」だったとすると、杏は他の勇者が知り得ない情報を知っていたことになる。

サブタイトル「禍根(かこん)」は災い(禍)の原因、元、根本というような意味。6話でメインになるのは若葉のバーテックスに対する復讐心、それにより友奈が負傷し、勇者たちの間に亀裂が入ったことだろう。
若葉の考え方が原因の禍根については7~8話である程度解消されるのだが、

  • 4話以降の千景の「自分は勇者として活躍しなければ価値がない」という考え方
  • 友奈の「病院の検査で『おかしなところ』はなかったか」という質問
  • シリーズ恒例の温泉旅館や贈り物などの特別待遇

などなど、引っかかる点は多い。

7話「新芽」より

戦って勝ち続けているうちに、○○してしまったのだろうか。
(略)
そもそも世界がこんな事態に陥ってしまったのは、人類の○○が原因だと。
神樹様がそう告げている、と。

2019年1月 乃木若葉 記

「慢心」「驕り」「傲慢」が適当だろうか。「暴走」も考えられなくはないか。

「新芽(しんめ)」は考えを改めた、自分がまだ未熟であると認めた若葉、というのが主だろう。もちろん杏に連れ出された市街地で出会う赤ん坊の事も指している。
(話の趣旨から逸れるが、自虐的になった若葉が「市中引き回し、笞打ち……」などと妄想した直後に、杏によってある意味「市中引き回し」をさせられているのは面白い。ついでに言えば白鳥さんの勇者としての武器はムチであった)
しかし、勇者である若葉にちなんで赤ん坊に「若葉」と名付ける、というシーンが出てきたことで、高嶋友奈と結城友奈の関係性は更にわからなくなってしまった。

8話「灯花」より

例えば○○○には、希望が高いみたい。

2019年2月 高嶋友奈 記

本文中の安芸真鈴のセリフ

北方の大地と南西の諸島……ほんの微かに生存者の反応があったらしいわ

から、「北海道」かと思われる。
南だとすると「屋久島」、「沖縄県」、「鹿児島」などもあり得るか。
「小笠原」も南の諸島ではあるが、四国から見て南西ではないので違うと思う。

「灯花(とうか)」には「灯心の先にできる燃えかすのかたまり」という意味もあるらしいが、ここでは素直に「あかり」という意味で取って良いだろう。四国の外の世界にも希望が見えてきた、若葉と仲間のコミュニケーションも良好、といった感じで。
もうひとつ意味があるとするなら「決戦の火蓋を切る」という意味か。

9話「光華」より

そもそもやっこさんたち(※引用注:バーテックス)が出てきたのって、
神樹様とは○○○○のせいだったりするのかな?

2019年2月 土井球子 記

「敵対関係」?
書いてるのがタマっち先輩なので「犬猿の仲」くらい砕けた表現かもしれない。

「光華(こうか)」はもともとは大乗仏教の言葉で「花のように輝く」というような意味らしいのだけども、ゆゆゆを先に知っていた身からするとつまり「ホシトハナ」ですよね、と。

10話「根雪」より

いわば、「勇者部」という部活の修学旅行、です。
(略)
ルートは○○半島は避けるようにとのことでした。

2019年3月 伊予島杏 記

乃木若葉での「勇者部」という単語は初出。友奈ではなく、杏からこの単語が出ているところにも注目したい。
四国→大阪→名古屋→諏訪と向かうのに避けろ、と言われるのは「紀伊半島」が考えられる。具体的には伊勢神宮(天照大御神)を避けろ、ということなのだろう。
……名古屋にも熱田神宮(ここも天照系)があるのだけども、そこは良いのだろうか。

「根雪(ねゆき)」は冬の間の積雪が雪解けの季節まで融けずに残ることを指す気象用語。ここではバーテックス(積雪)に押さえつけられていた若葉たちがやっと四国の外に出る(雪融けを迎える)が、そこにはまだ根雪が残っていた、というようなイメージだと思う。
6話のサブタイトル「禍根」や、若葉の武器である生太刀(『古事記』の中で、大国主命が根の国から持ち帰ったもの)、このシリーズのキーワードのひとつである「根性」など、「根」との関わりは深そうだ。

↑ここまでが「乃木若葉は勇者である(上)」に収録された話


↓ここからはまだ単行本化されていないところ

11話「種子」
ついに「勇者御記」の4文字を除いて全面削除。文章・年月・筆者、すべて不明。最初のセンテンスが2文字、という程度しか分からない。
前述の通り、ここまでの御記から丹念に取り除かれている郡千景の筆によるものだと考えて良いだろう。

「種子(たね、しゅし)」は諏訪組の残した野菜の種子が真っ先に挙げられるが、(御記が抹消されているところから考えられる)千景に宿った大社への疑惑の種子、大社の指示に対する疑いの始まり、などといった意味合いもあると思われる。

この回のラストら辺、ちょっと北斗の拳のミスミじいさんっぽいと思いました。

12話「忘種」

皆を鼓舞するためとはいえ、
連日流れる○○の情報を見ていると、
背筋がゾクリとする。

2019年3月 乃木若葉 記

本文中にもある通り「虚偽」の情報、で間違いないだろう。
大社の隠蔽体質はこの時か、それ以前から始まっていた。

「忘種(わすれぐさ)」は気晴らし、憂さ晴らし、心配事を忘れるための何か、といったような意味。本文中での模擬戦&王様ゲームがまさにそれだと考えていい。
同時に、11話の諏訪から持ち帰った「種子」(実際に起こった出来事の象徴)を忘れたかのような大社の態度も示している……のかもしれない。
どうでもいいのだが、同じ読みである「忘れ草」(カンゾウ)という花があるのでちょっと調べてたら、若葉は食用にされという解説があって、一瞬「うわ」ってなった。


勇者御記全体を通して
「乃木若葉」時代の対バーテックス組織は「大社」と文中でもわざわざ強調して書かれているが、検閲を行っているのは「大赦」になってから。
後に西暦から神世紀に変わる段階で、組織名を変更する何かがあるのだろう。
12話御記・本文にもある通り、大本営発表的な虚偽の報道は西暦段階ですでに始まっている。
例えば「撤退」を「転進」、「全滅」を「玉砕」と言い換えたように、「大社」を「大赦」と言い換えて「我々は赦されている(赦されるべき)存在である」ということを強調したいのかもしれない。

と、ゆゆゆシリーズとはまったく関係ないのだがWikipediaの玉砕の項目にある北斉書の引用部分

大丈夫寧可玉砕何能瓦全
(立派な男子は潔く死ぬべきであり、瓦として無事に生き延びるより、玉のように砕けたほうがよい)

って、カート・コバーンの遺書っぽいよな……

It’s better to burn out than to fade away
(錆びつくより今燃え尽きる方がいい)

これはニール・ヤング&クレイジー・ホース「Hey Hey, My My」からの引用。

タマっち先輩はパンクロックが好きだそうだけど、ニール・ヤングやニルヴァーナは聴くのですかね。

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